35 民間信仰石塔(宮前一丁目) 【信仰】(宮前1丁目17番)

 

ページ番号1008014  更新日 平成28年1月18日 印刷 

ここに建立されている石塔は、延宝6年(1678)・元禄9年(1696)銘の庚申塔です。
庚申信仰は、「長生きするためには、60日に1回めぐってくる庚申(かのえさる)の夜は身を慎しみ、諸善を行い、徹夜をすべきである」という中国の道教説から始まったようです。それが日本に伝わってからは、中世以降仏教や神道の信仰と習合して庶民の間にひろまりました。江戸時代には、本尊を青面金剛とし、不見、不聞、不言の三猿が彫られるようになり、ここに見られるような庚申塔の建立が盛んになりました。
この辺りは、かつては大宮前新田といわれ、江戸時代の寛文年間に、砂川道(五日市街道)沿いの新田村として開村しました。そして、この場所は大宮前新田の地番の振り出しで、当時から慈宏寺の寺有地となっています。
ここの庚申塔は、開村後地域の人々が悪疫退散、村内安全等を祈願して建立されたものと思われます。延宝6年の石塔には13名、元禄9年の石塔には31名の建立者の氏名が刻まれています。
なお、ここからは昔、富士山が見えたので富士見浦と呼ばれました。塔わきの藤の木は「庚申の藤」と呼ばれ、昭和5年から43年まで、都天然記念物に指定されていた樹齢約300年の古木で、庚申塔建立と同じ頃植えられたものと伝えられています。
私たちもこのような文化財を、一層大切に守りつづけたいものです。

昭和56年2月15日

 

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