123 杉並能楽堂 【建築物】(和田1丁目55番9号)

 

ページ番号1008023  更新日 平成28年1月18日 印刷 

能楽堂は、能・狂言の上演のために作られた劇場で、屋根のある能舞台と見所(観客席)とを、ともに屋内に設けた建物です。
この能楽堂は、能楽師、大蔵流狂言方二世山本東次郎則忠が、明治43年、弟子の渡辺勝三郎(銀行頭取)の援助で、本郷弓町(現文京区本郷二丁目)に創建したものです。その後、昭和4年当地に移築再建されました。都内にある能楽堂の中で二番目に古く、また自然光の中で能・狂言を鑑賞できる東京で唯一の舞台と言われています。
創建にあたっては、二世と懇意の彦根井伊家に残る江戸城三の丸の図面をもとに、舞台はもちろん橋掛り(舞台左手の渡り廊下、実質上は舞台の延長)に至るまで、当時そのままに再現されたといいます。鏡板(舞台正面の羽目板)の老松も下図どおりに描かれ、絵筆をとったのは弟子の正木白羊です。当時若かった三世(現当主四世の父)も絵の具を溶いたりして手伝ったそうです。松の緑の葉の絵具は、緑青を使っています。
能舞台に出入りする口は、鏡の間(出演前の控えの間)から橋掛りへ出る幕口、舞台右側の地謡座の奥の貴人口、更にその奥の切戸口の三つがあります。貴人口は広く、切戸口は狭く作られており、江戸時代の名残をとどめています。舞台の床下は束柱を立てない特殊構造で、甕がうめてあり、共鳴効果を高めています。
この能楽堂では、狂言大蔵流の東の名家として、四世山本東次郎氏を中心にした狂言会の他、能・狂言を愛好する一般の方々の発表会にも利用されています。

平成23年3月

 

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