区立施設再編整備計画の見直し作業を進めています(令和5年6月29日)

 

ページ番号1088598  更新日 令和5年6月29日 印刷 

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杉並区長 岸本 聡子 

杉並区議会史上初めてのパリテ(男女がほぼ同数)となった令和5年第二回区議会定例会が終わりました。すべての議案を賛成多数で可決いただいたことについて、感謝の念を持って受けとめています。

今回の議会で争点となった一つに、天沼・本天沼地域の区立施設再編に関連した議案がありました。具体的には本天沼区民集会所を改修・増築して「コミュニティふらっと本天沼」として整備し、そこに本天沼区民集会所と天沼区民集会所、高齢者施設であるゆうゆう天沼館の機能を継承する、そのための条例改正及び補正予算の議案です。機能を継承するとはいえ、集会所とゆうゆう館は廃止となるため、区立施設再編整備計画の見直しやゆうゆう館の廃止ストップを公約に掲げて当選した私にとっては、この案で提案することは苦渋の決断でした。

私は、昨年7月の区長就任後、区立施設再編整備計画の検証作業を開始するとともに、すでに計画化されている施設の方針を定めるため、当該施設を巡り、職員から詳細なレクチャーを受け、議論を重ねてきました。そのうえで、「一旦休止する取組」と「計画どおり又は一部修正して実施する取組」とに仕分けを行い、昨年11月に公表しました。すべての事業を休止できなかった理由は、設計などの取組がすでに進んでいるものがあったことや、緊急性の高い行政課題への対応が含まれているものがあったことによります。今回の天沼・本天沼地域の再編も、先の下高井戸児童館の廃止を含む下高井戸地域の再編も、こうした理由から実施せざるを得ないという判断に至りました。

熟慮した結果ですので、行政として着実に進めなくてはいけないという使命感はありながらも、一方では、ゆうゆう館や児童館を残したいという方々の切実な要望に少しでも寄り添いたい、そして引き続き地域の中でいきいきと活動していただきたいという思いを、今も変わらず持ち続けています。

天沼・本天沼地域においては、2回の説明会のほか、膝詰めでたくさんの声に耳を傾けてきました。保育所や児童相談所の整備にも影響が生じるため、どうしても白紙に戻すことはできませんでしたが、それでも話し合いを重ねる中で、具体的で前向きな改善に結び付けることができました。ゆうゆう館の建物解体をぎりぎりまで延ばして休館期間をなくしたこと、集会機能が縮小するといった心配に対して、近隣施設の一部を集会場所として使用できるようにしたこと、コミュニティふらっと本天沼の防音機能を高め、安心して演劇や合唱ができるようにしたこと、そして、コミュニティふらっと本天沼の運営に地域や利用者の声が反映されるように地域懇談会を設けることとしたことです。懇談会は、施設運営について意見を述べる場であることはもとより、将来的には区職員と共に地域のニーズを継続的にモニターする役割を担い、地域づくりや高齢者の活動場所のあり方などについて幅広く協議する場として発展させていきたいと考えています。

話し合いの過程の中で、今までになかったアイデアにつながることがありました。再編の結果、交通量の多い道路を渡らなければいけない方が増え、利用者の足が離れるという意見が出たときに、時速20キロメートル未満で走るグリーンスローモビリティ(グリスロ)の導入可能性があるのではないか、と区職員から声が上がったのです。交通不便地域でもあり、高齢者等をはじめ誰もが気軽で快適に移動できる手段の一つとして荻窪駅南側エリアで実証運行の実績もあるグリスロは、この地域にまさにフィットするように思えます。魅力的な施設をつくるだけでなく、その施設にスムーズに向かえることはもちろん、思わず外出したくなるような移動手段があれば、高齢者の健康づくりやいきがいづくりにもつながります。言わばまちづくりの面から高齢者を支えていく発想で、実現までにはなお検討を要しますが、話し合いの場からそのような将来構想にもつながるアイデアが生まれたことは、まさに“対話の成果”だったと思います。

この地域には、旧若杉小学校跡地もあります。本格活用に向けた検討が長年の課題となっていましたが、まずは今年度、既存の校舎の状態を調査し、その結果を踏まえ、今後、地域の方と十分に意見交換を行って具体化していきます。今回の施設再編の話し合いを契機に、ここでも未来に向かって実りある対話を進めていきたいと考えています。

私が区長に就任する前の区立施設再編整備計画の決定プロセスは、区の内部で検討して、ほぼ固まった計画案を地域住民に説明し、意見が出ても計画の根幹についてはほとんど修正することなく決定していた、というのが実情ではなかったかと感じています。老朽化した施設を改修・改築し、現在の区民ニーズに加えて将来の区民ニーズも見据えて機能をブラッシュアップすること自体は大切なことですが、計画決定のプロセスにおいては、幅広く地域住民の声を聴き、議論を重ねながらその思いやアイデアを織り込んで、一人ひとりの納得感を高めていくことが重要です。現在進めている検証の結果を踏まえ、今後の施設整備のあり方を、計画決定のプロセスも含めて考えていきたいと思います。

検証の一環として、7月1日から区内7地域で「区立施設再編整備計画の検証に関する意見交換会」を開催します。これまでの施設再編を振り返り、検証作業中のデータをお示ししながら、地域住民の意見をどのように施設の更新や整備に反映していくべきか、参加者とともに考えていく取組です。申込期限が過ぎていますが、方南和泉地域(7月6日)と井草地域(7月11日)については、参加者枠に余裕があるため申し込みを6月30日まで延長しています。多くの皆様のご参加をお待ちしています。

 

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