文化財関係法規 杉並区文化財保護条例

 

ページ番号1007831  更新日 平成28年1月14日 印刷 

昭和五十七年四月一日
条例第八号

目次
第一章 総則(第一条―第三条)
第二章 登録文化財(第四条―第十三条)
第三章 指定文化財(第十四条―第二十八条)
第四章 杉並区文化財保護審議会(第二十九条―第三十八条)
第五章 雑則(第三十九条―第四十一条)
第六章 罰則(第四十二条―第四十五条)
附則

第一章 総則
(目的)
第一条 この条例は、文化財保護法(昭和二十五年法律第二百十四号。以下「法」という。)第百八十二条第二項の規定に基づき、杉並区(以下「区」という。)の区域内に存する文化財について、その保存及び活用のため必要な措置を講じ、もつて区民の文化的向上に資するとともに、郷土文化の振興と発展に貢献することを目的とする。

(定義)
第二条 この条例において「文化財」とは、次に掲げるものをいう。
一 建造物、絵画、彫刻、工芸品、書跡、典籍、古文書その他の有形の文化的所産で歴史上又は芸術上価値のあるもの(これらのものと一体をなしてその価値を形成してある土地その他の物件を含む。)並びに考古資料及びその他の学術上価値のある歴史資料(以下「有形文化財」という。)
二 演劇、音楽、工芸技術その他の無形の文化的所産で歴史上又は芸術上価値のあるもの(以下「無形文化財」という。)
三 衣食住、生業、信仰、年中行事等に関する風俗慣習、民俗芸能並びに民俗技術で生活の推移の理解のため欠くことのできないもの(以下「無形民俗文化財」という。)及びこれらに用いられる衣服、器具、家屋その他の物件で生活の推移の理解のため欠くことのできないもの(以下「有形民俗文化財」という。)
四 貝塚、古墳、城跡、旧宅その他の遺跡で歴史上又は学術上価値のあるもの、庭園、橋梁、峡谷その他の名勝地で芸術上又は観賞上価値のあるもの並びに動物(生息地、繁殖地及び渡来地を含む。)、植物(自生地を含む。)及び地質鉱物(特異な自然現象の生じている土地を含む。)で学術上価値のあるもの(以下「記念物」という。)

(区等の責務)
第三条 区は、文化財が郷土の歴史、文化等の正しい理解のため欠くことのできないものであり、かつ、将来の文化の向上発展の基礎をなすものであることを認識し、文化財の保存及び活用が適切に行われるよう努めなければならない。
2 区民は、文化財の保護に努めるとともに、区がこの条例の目的を達成するために行う施策に誠実に協力しなければならない。
3 文化財の所有者その他の関係者は、文化財が郷土にとつて貴重な財産であることを自覚し、これを公共のために大切に保存するとともに、できるだけこれを公開する等その文化的活用に努めなければならない。
4 杉並区教育委員会(以下「教育委員会」という。)は、教育活動、広報活動等を通じて、文化財保護に関する知識の普及、情報の提供及び意識の高揚に努めるとともに、文化財の研究及び保護を行う自主的活動並びに地域文化活動の育成に努めなければならない。
5 教育委員会は、この条例の執行に当たつては、関係者の所有権その他の財産権を尊重するとともに、文化財の保護と他の公益との調整に留意しなければならない。

第二章 登録文化財

(文化財の登録)
第四条 教育委員会は、区の区域内に存する文化財を調査し、必要と認めたものを杉並区文化財登録台帳に登録し、次の各号の杉並区登録文化財(以下「区登録文化財」という。)とすることができる。
一 杉並区登録有形文化財(以下「区登録有形文化財」という。)
二 杉並区登録無形文化財(以下「区登録無形文化財」という。)
三 杉並区登録有形民俗文化財(以下「区登録有形民俗文化財」という。)
四 杉並区登録無形民俗文化財(以下「区登録無形民俗文化財」という。)
五 杉並区登録史跡、杉並区登録名勝又は杉並区登録天然記念物(以下「区登録記念物」と総称する。)
2 区登録有形文化財、区登録有形民俗文化財及び区登録記念物(以下「区登録有形文化財等」という。)を登録するに当たつては、教育委員会は、あらかじめ当該文化財の所有者及び権原に基づく占有者の同意を得なければならない。ただし、所有者又は権原に基づく占有者の判明しない場合は、この限りでない。
3 区登録無形文化財を登録するに当たつては、教育委員会は、当該文化財の保持者又は保持団体(無形文化財を保持する者が主たる構成員となつている団体で代表者の定めのあるものをいう。以下同じ。)を認定しなければならない。
4 第一項の規定による登録は、教育委員会がその旨を告示するとともに、区登録有形文化財等にあつては当該区登録有形文化財等の所有者及び権原に基づく占有者に、区登録無形文化財にあつては当該区登録無形文化財の保持者又は保持団体として認定しようとするもの(保持団体にあつては、その代表者)に、区登録無形民俗文化財にあつては当該区登録無形民俗文化財の保存に当たつている者又は団体(代表者の定めのあるものに限る。以下同じ。)があるときはその者又はその団体の代表者に通知して行う。ただし、所有者及び権原に基づく占有者の判明しない場合は、告示をもつて足りるものとする。
5 第一項の規定による登録は、前項の告示があつた日からその効力を生ずる。
6 教育委員会は、区登録無形文化財の登録をした後においても、当該区登録無形文化財の保持者又は保持団体として認定するに足りるものがあると認めるときは、そのものを保持者又は保持団体として追加認定することができる。
7 第四項の規定は、前項の規定による追加認定について準用する。

(解除)
第五条 教育委員会は、区登録文化財が区登録文化財としての価値を失つた場合その他特別の事由があるときは、その登録を解除することができる。
2 教育委員会は、区登録無形文化財の保持者が心身の故障のため保持者として適当でなくなつたと認められる場合、保持団体がその構成員の異動のため保持団体として適当でなくなつたと認められる場合その他特別の事由があるときは、その認定を解除することができる。
3 前条第四項の規定は、前二項の規定による登録又は認定の解除について準用する。
4 区登録無形文化財の保持者が死亡したとき又は保持団体が解散したとき(消滅したときを含む。以下同じ。)は、当該保持者又は保持団体の認定は解除されたものとし、区登録無形文化財の保持者の全てが死亡したとき又は保持団体の全てが解散したときは、当該区登録無形文化財の登録は解除されたものとする。この場合には、教育委員会は、その旨を告示しなければならない。

(文化財保護の奨励)
第六条 区は、文化財保護の奨励のため、区登録有形文化財等の所有者、区登録無形文化財の保持者もしくは保持団体又は区登録無形民俗文化財の保存に当たつている者もしくは団体のうち、教育委員会が適当と認めるものに対して、予算の範囲内で奨励金を交付することができる。

(所有者の管理義務等)
第七条 区登録有形文化財等の所有者は、この条例並びにこの条例に基づいて定める杉並区教育委員会規則(以下「教育委員会規則」という。)及びこの条例に基づいてする教育委員会の指示に従い、区登録有形文化財等を管理しなければならない。
2 区登録有形文化財等の所有者は、特別の事情があるときは、専ら自己に代わり当該区登録有形文化財等の管理の責に任ずべき者(以下「管理責任者」という。)を選任することができる。
3 第一項の規定は、管理責任者について準用する。

(管理又は修理等に関する助言又は勧告)
第八条 教育委員会は、区登録有形文化財等の管理が適当でないため当該区登録有形文化財等が滅失し、き損し、又は盗み取られるおそれがあると認めるときは、その所有者又は管理責任者に対して、管理方法の改善、保存施設の設置その他管理に関し必要な措置を助言又は勧告することができる。
2 教育委員会は、区登録有形文化財等がき損している場合において、その保存のため必要があると認めるときは、その所有者に対して、修理について必要な助言又は勧告をすることができる。
3 教育委員会は、区登録無形文化財の保持者又は保持団体その他その保存に当たることを適当と認めるもの及び区登録無形民俗文化財の保存に当たることを適当と認めるものに対して、その保存のため必要な助言又は勧告をすることができる。

(保存の措置)
第九条 教育委員会は、区登録無形文化財又は区登録無形民俗文化財の保存のため必要があると認めるときは、自ら記録の作成、伝承者の養成その他その保存のため適当な措置を執ることができる。

(公開)
第十条 教育委員会は、区登録有形文化財又は区登録有形民俗文化財の所有者に対して、六箇月以内の期間を限つて、教育委員会の行う公開の用に供するため、当該区登録有形文化財又は区登録有形民俗文化財を出品することを勧告することができる。
2 教育委員会は、区登録有形文化財もしくは区登録有形民俗文化財の所有者又は区登録無形文化財の保持者もしくは保持団体に対して、当該区登録有形文化財、区登録有形民俗文化財又は区登録無形文化財の公開を勧告することができる。
3 教育委員会は、区登録無形文化財又は区登録無形民俗文化財の記録の所有者に対して、その記録の公開を勧告することができる。
4 第一項の規定による出品のために要する費用は、区の負担とし、前二項の規定による公開に要する費用は、予算の範囲内でその全部又は一部を区の負担とすることができる。
5 区は、第一項の規定により出品した所有者に対して、謝礼金を支給することができる。
6 教育委員会は、第一項の規定により区登録有形文化財又は区登録有形民俗文化財が出品されたときは、その職員のうちから当該区登録有形文化財又は区登録有形民俗文化財の管理の責に任ずべき者を定めなければならない。
7 第一項の規定により出品し、又は第二項の規定により公開したことに起因して当該区登録有形文化財又は区登録有形民俗文化財が滅失し、又はき損したときは、区は、その所有者に対して、その通常生ずべき損失を補償する。ただし、所有者又は管理責任者の責に帰すべき事由によつて滅失し、又はき損した場合は、この限りでない。

(所有者変更等の届出)
第十一条 区登録有形文化財等について、次の各号の一に該当するときは、当該各号に定める者は、速やかに教育委員会に届け出なければならない。
一 区登録有形文化財等の所有者が氏名もしくは名称又は住所を変更したとき。 所有者
二 区登録有形文化財等の所有者が変更したとき。 新所有者
三 区登録有形文化財等の管理責任者を選任し、又は解任したとき。 所有者
四 区登録有形文化財等の管理責任者が氏名もしくは名称又は住所を変更したとき。 管理責任者
五 区登録有形文化財等が滅失し、き損し、又は亡失したとき。 所有者(管理責任者がある場合は管理責任者)
六 区登録有形文化財又は区登録有形民俗文化財の所在の場所を変更しようとするとき。 所有者(管理責任者がある場合は管理責任者)
七 区登録記念物の登録地域内の土地について、その土地の所在、地番、地目又は地積に異動があつたとき。 所有者(管理責任者がある場合は管理責任者)
2 前項の規定にかかわらず、同項第六号に該当する場合で、教育委員会規則で定める事由があるときは、届出を要さず、又は所在の場所を変更した後届け出ることをもつて足りるものとする。

(保持者等に関する届出)
第十二条 区登録無形文化財について、次の各号の一に該当するときは、当該各号に定める者は、速やかに教育委員会に届け出なければならない。
一 区登録無形文化財の保持者が氏名、芸名もしくは雅号又は住所を変更したとき。 保持者
二 区登録無形文化財の保持団体が名称もしくは事務所の所在地を変更し、又はその構成員に異動を生じたとき。 保持団体の代表者
三 区登録無形文化財の保持団体の代表者に変更があつたとき。 保持団体の新代表者
四 区登録無形文化財の保持者に当該区登録無形文化財の保存に影響を及ぼす心身の故障が生じたとき。 保持者又は保持者の推定相続人
五 区登録無形文化財の保持者が死亡したとき。 保持者の相続人
六 区登録無形文化財の保持団体が解散したとき。 保持団体の代表者であつた者

(調査)
第十三条 教育委員会は、必要があると認めるときは、区登録有形文化財等の所有者又は管理責任者に対して、当該区登録有形文化財等の現状又は管理もしくは修理の状況につき報告を求めることができる。

第三章 指定文化財

(文化財の指定)
第十四条 教育委員会は、区登録文化財(法及び東京都文化財保護条例(昭和五十一年東京都条例第二十五号。以下「都条例」という。)の規定による指定を受けた文化財を除く。)のうち区にとつて重要なものを次の各号の杉並区指定文化財(以下「区指定文化財」という。)に指定することができる。
一 杉並区指定有形文化財(以下「区指定有形文化財」という。)
二 杉並区指定無形文化財(以下「区指定無形文化財」という。)
三 杉並区指定有形民俗文化財(以下「区指定有形民俗文化財」という。)
四 杉並区指定無形民俗文化財(以下「区指定無形民俗文化財」という。)
五 杉並区指定史跡、杉並区指定名勝又は杉並区指定天然記念物(以下「区指定記念物」と総称する。)
2 区指定有形文化財、区指定有形民俗文化財及び区指定記念物(以下「区指定有形文化財等」という。)を指定するに当たつては、教育委員会は、あらかじめ当該文化財の所有者及び権原に基づく占有者の同意を得なければならない。ただし、所有者又は権原に基づく占有者の判明しない場合は、この限りでない。
3 区指定無形文化財を指定するに当たつては、教育委員会は、当該文化財の保持者又は保持団体(無形文化財を保持する者が主たる構成員となつている団体で代表者の定めのあるものをいう。以下同じ。)を認定しなければならない。
4 第一項の規定による指定は、教育委員会がその旨を告示するとともに、区指定有形文化財等にあつては当該区指定有形文化財等の所有者及び権原に基づく占有者に、区指定無形文化財にあつては当該区指定無形文化財の保持者又は保持団体として認定しようとするもの(保持団体にあつては、その代表者)に、区指定無形民俗文化財にあつては当該区指定無形民俗文化財の保存に当たつている者又は団体(代表者の定めのあるものに限る。以下同じ。)があるときはその者又はその団体の代表者に通知して行う。ただし、所有者及び権原に基づく占有者の判明しない場合は、告示をもつて足りるものとする。
5 第一項の規定による指定は、前項の告示があつた日からその効力を生ずる。
6 教育委員会は、区指定無形文化財の指定をした後においても、当該区指定無形文化財の保持者又は保持団体として認定するに足りるものがあると認めるときは、そのものを保持者又は保持団体として追加認定することができる。
7 第四項の規定は、前項の規定による追加認定について準用する。

(解除)
第十五条 教育委員会は、区指定文化財が区指定文化財としての価値を失つた場合その他特別の事由があるときは、その指定を解除することができる。
2 教育委員会は、区指定無形文化財の保持者が心身の故障のため保持者として適当でなくなつたと認められる場合、保持団体がその構成員の異動のため保持団体として適当でなくなつたと認められる場合その他特別の事由があるときは、その認定を解除することができる。
3 前条第四項の規定は、前二項の規定による指定又は認定の解除について準用する。
4 区指定無形文化財の保持者が死亡したとき又は保持団体が解散したとき(消滅したときを含む。以下同じ。)は、当該保持者又は保持団体の認定は解除されたものとし、区指定無形文化財の保持者の全てが死亡したとき又は保持団体の全てが解散したときは、当該区指定無形文化財の指定は解除されたものとする。この場合には、教育委員会は、その旨を告示しなければならない。
5 区指定文化財が法又は都条例の規定による指定を受けたときは、当該区指定文化財の指定は、解除されたものとする。

(所有者の管理義務等)
第十六条 第七条の規定は、区指定有形文化財等の管理について準用する。この場合において、同条第二項の規定に基づき選任された区登録有形文化財等の管理責任者がある場合は、当該管理責任者は、区指定有形文化財等の管理責任者に選任されたものとする。

(所有者変更等の届出)
第十七条 第十一条の規定は、区指定有形文化財等に係る所有者変更等の届出について準用する。この場合において、区指定有形文化財等に係る所有者変更等の届出がなされたときは、当該区登録有形文化財等に係る所有者変更等の届出がなされたものとみなす。

(保持者等に関する届出)
第十八条 第十二条の規定は、区指定無形文化財に係る保持者等に関する届出について準用する。この場合において、区指定無形文化財に係る保持者等に関する届出がなされたときは、当該区登録無形文化財に係る保持者等に関する届出がなされたものとみなす。

(補助金の交付等)
第十九条 区指定有形文化財等の管理又は修理につき多額の経費を要し、所有者がその負担に堪えない場合その他特別の事情がある場合には、区は、その経費の一部に充てさせるため、その所有者に対して、予算の範囲内で補助金を交付することができる。
2 区は、区指定無形文化財の保持者もしくは保持団体その他その保存に当たることを適当と認めるもの又は区指定無形民俗文化財の保存に当たることを適当と認めるものに対して、その保存に要する経費の一部に充てさせるため、予算の範囲内で補助金を交付することができる。
3 前二項の規定により補助金を交付する場合には、教育委員会は、その補助の条件として管理もしくは修理又は保存に関し必要な事項を指示するとともに、必要があると認めるときは、当該管理もしくは修理又は保存について指揮監督することができる。

(補助金の返還等)
第二十条 前条の規定による補助金の交付を受けるものが、次の各号の一に該当するときは、区は、当該補助金の全部もしくは一部を交付せず、又はそのものに対して既に交付された補助金の全部もしくは一部の返還を命ずることができる。
一 前条第三項の補助の条件に従わなかつたとき。
二 不正の手段により補助金の交付を受け、又は受けようとしたとき。
三 補助金の交付を受けた目的以外の目的に補助金を使用したとき。
四 前各号のほか、管理又は修理に関し法令に違反したとき。

(修理等に関する費用負担)
第二十一条 区指定有形文化財等について第八条第一項及び第二項の規定による勧告に基づいて行う修理その他の措置に要する費用は、予算の範囲内でその全部又は一部を区の負担とすることができる。
2 第十九条第三項及び前条の規定は、前項の規定により区が費用の全部又は一部を負担する場合について準用する。

(有償譲渡の場合の納付金)
第二十二条 区が管理又は修理に関し必要な措置(以下この条において「修理等」という。)につき第十九条第一項の規定により補助金を交付し、又は前条第一項の規定により費用を負担した区指定有形文化財等のその当時における所有者又はその相続人、受遺者もしくは受贈者は、補助又は費用負担に係る修理等に関し必要な措置が行われた後、当該区指定有形文化財等を有償で譲り渡した場合においては、当該補助金又は負担金の額の合計額から当該修理等が行われた後当該区指定有形文化財等の修理等のため自己の費した金額を控除して得た金額を区に納付しなければならない。
2 前項に規定する「補助金又は負担金の額」とは、補助金又は負担金の額を補助又は費用負担に係る修理等を施した区指定有形文化財等につき教育委員会が定める耐用年数で除して得た金額に更に当該耐用年数から修理等を行つた時以後当該区指定有形文化財等の譲渡の時までの年数を控除した残余の年数(一年に満たない部分があるときは、これを切り捨てる。)を乗じて得た金額に相当する金額とする。
3 補助又は費用負担に係る修理等が行われた後、当該区指定有形文化財等を区に譲り渡した場合その他特別の事情がある場合には、区は、第一項の規定により納付すべき金額の全部又は一部の納付を免除することができる。

(現状変更等の制限)
第二十三条 区指定有形文化財及び区指定記念物に関しその現状を変更し、又はその保存に影響を及ぼす行為をしようとするときは、教育委員会の許可を受けなければならない。ただし、現状の変更については維持の措置又は非常災害のために必要な応急措置を執る場合、保存に影響を及ぼす行為については影響の軽微である場合は、この限りでない。
2 前項ただし書に規定する維持の措置の範囲は、教育委員会規則で定める。
3 教育委員会は、第一項の許可を与える場合において、区指定有形文化財及び区指定記念物の保護上必要があると認めるときは、その許可の条件として同項の現状の変更又は保存に影響を及ぼす行為に関し必要な事項を指示することができる。
4 第一項の許可を受けた者が前項の許可の条件に従わなかつたときは、教育委員会は、許可に係る現状の変更もしくは保存に影響を及ぼす行為の停止を命じ、又は許可を取り消すことができる。
5 第一項の許可を受けることができなかつたことにより、又は第三項の許可の条件を付されたことにより損失を受けた者に対しては、区は、その通常生ずべき損失を補償する。

(修理の届出等)
第二十四条 区指定有形文化財及び区指定記念物を修理しようとするときは、所有者は、あらかじめその旨を教育委員会に届け出なければならない。ただし、第八条第二項の規定による勧告、第十九条第一項の規定による補助金の交付又は前条第一項の規定による許可を受けて修理を行うときは、この限りでない。
2 教育委員会は、区指定有形文化財及び区指定記念物の保護上必要があると認めるときは、前項の届出に係る修理に関し技術的な指導及び助言をすることができる。

(現状変更等の届出等)
第二十五条 区指定有形民俗文化財に関しその現状を変更し、又はその保存に影響を及ぼす行為をしようとする者は、あらかじめその旨を教育委員会に届け出なければならない。ただし、教育委員会規則で定める場合は、この限りでない。
2 教育委員会は、区指定有形民俗文化財の保護上必要があると認めるときは、前項の届出に係る現状の変更又は保存に影響を及ぼす行為に関し必要な指示をすることができる。

(公開)
第二十六条 教育委員会は、区指定有形文化財又は区指定有形民俗文化財の所有者に対して、六箇月以内の期間を限つて、教育委員会の行う公開の用に供するため、当該区指定有形文化財又は区指定有形民俗文化財を出品することを勧告することができる。
2 教育委員会は、区指定有形文化財もしくは区指定有形民俗文化財の所有者又は区指定無形文化財の保持者もしくは保持団体に対して、当該区指定有形文化財、区指定有形民俗文化財又は区指定無形文化財の公開を勧告することができる。
3 教育委員会は、区指定無形文化財又は区指定無形民俗文化財の記録の所有者に対して、その記録の公開を勧告することができる。
4 第一項の規定による出品のために要する費用は、区の負担とし、前二項の規定による公開に要する費用は、予算の範囲内でその全部又は一部を区の負担とすることができる。
5 区は、第一項の規定により出品した所有者に対して、謝礼金を支給することができる。
6 教育委員会は、第一項の規定により区指定有形文化財又は区指定有形民俗文化財が出品されたときは、その職員のうちから当該区指定有形文化財又は区指定有形民俗文化財の管理の責に任ずべき者を定めなければならない。
7 第一項の規定により出品し、又は第二項の規定により公開したことに起因して当該区指定有形文化財又は区指定有形民俗文化財が滅失し、又はき損したときは、区は、その所有者に対して、その通常生ずべき損失を補償する。ただし、所有者又は管理責任者の責に帰すべき事由によつて滅失し、又はき損した場合は、この限りでない。
8 教育委員会は、第二項の規定による公開及び当該公開に係る区指定有形文化財又は区指定有形民俗文化財の管理に関し必要な指示をするとともに、必要があると認めるときは、当該管理について指揮監督することができる。
9 第二項の規定による公開の場合を除き、区指定有形文化財又は区指定有形民俗文化財の所在の場所を変更してこれを公衆の観覧に供するため第十七条において準用する第十一条第一項第六号の規定による届出があつた場合には、前項の規定を準用する。

(調査)
第二十七条 第十三条の規定は、区指定有形文化財等の調査について準用する。

(所有者変更に伴う権利義務の承継)
第二十八条 区指定有形文化財等の所有者が変更したときは、新所有者は、当該区指定有形文化財等に関しこの条例に基づいてする教育委員会の勧告、指示その他の処分による旧所有者の権利義務を承継する。

第四章 杉並区文化財保護審議会

(設置)
第二十九条 教育委員会に、杉並区文化財保護審議会(以下「審議会」という。)を置く。

(所掌事務)
第三十条 審議会は、教育委員会の諮問に応じて、文化財の保存及び活用に関する重要事項を調査審議し、並びにこれらの事項について教育委員会に建議する。

(審議会への諮問)
第三十一条 教育委員会は、次に掲げる事項については、あらかじめ審議会に諮問しなければならない。
一 区登録文化財の登録及びその登録の解除
二 区指定文化財の指定及びその指定の解除
三 区登録無形文化財又は区指定無形文化財の保持者又は保持団体の認定及び追加認定並びにその認定及び追加認定の解除
四 前各号に掲げるもののほか、教育委員会が必要と認める事項

(組織)
第三十二条 審議会は、委員十二人以内で組織する。
2 特別の事項を調査審議するため必要があるときは、審議会に臨時委員を置くことができる。

(委員の選任)
第三十三条 委員及び臨時委員は、文化財に関し広くかつ高い識見を有する者のうちから教育委員会が委嘱する。

(委員の任期)
第三十四条 委員の任期は、二年とし、再任を妨げない。ただし、欠員が生じた場合の補欠委員の任期は、前任者の残任期間とする。
2 臨時委員は、当該特別の事項の調査審議が終わつたとき退任するものとする。

(会長及び副会長)
第三十五条 審議会に会長及び副会長を置く。
2 会長及び副会長は、委員が互選する。
3 会長は、審議会を代表し、会務を総理する。
4 副会長は、会長を補佐し、会長に事故があるときは、その職務を代理する。

(招集)
第三十六条 審議会は、会長が招集する。

(議事)
第三十七条 審議会は、委員の過半数が出席しなければ会議を開くことができない。
2 審議会の議事は、出席した委員の過半数をもつて決し、可否同数のときは、会長の決するところによる。

(会議の公開)
第三十七条の二 審議会の会議は、公開とする。ただし、審議会の議決があつたときは、非公開とすることができる。

(部会)
第三十八条 審議会に専門的事項を調査研究するため部会を置くことができる。

第五章 雑則

(標識等の設置)
第三十九条 教育委員会は、区登録有形文化財等及び区指定有形文化財等のうち、区民の観覧のため必要があると認めるものについては、当該区登録有形文化財等又は区指定有形文化財等の所有者及び権原に基づく占有者の同意を得て、標識又は説明板を設置し、これを当該区登録有形文化財等又は区指定有形文化財等の所有者、権原に基づく占有者又は管理責任者に管理させることができる。

(文化財保護指導員)
第四十条 文化財について、その所在及び保存状況を調査するとともに、文化財保護のための指導等に当たらせるため、教育委員会に、文化財保護指導員を置くことができる。

(委任)
第四十一条 この条例の施行について必要な事項は、教育委員会規則で定める。

第六章 罰則

(刑罰)
第四十二条 区指定有形文化財を損壊し、き損し、又は隠匿した者は、五万円以下の罰金又は科料に処する。
第四十三条 区指定記念物の現状を変更し、又はその保存に影響を及ぼす行為をしてこれを滅失し、き損し、又は衰亡するに至らしめた者は、五万円以下の罰金又は科料に処する。
第四十四条 第二十三条の規定に違反して、教育委員会の許可を受けず、もしくはその許可の条件に従わないで、区指定有形文化財もしくは区指定記念物の現状を変更し、もしくはその保存に影響を及ぼす行為をし、又は教育委員会の現状の変更もしくは保存に影響を及ぼす行為の停止の命令に従わなかつた者は、三万円以下の罰金又は科料に処する。

(両罰規定)
第四十五条 法人の代表者又は法人もしくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務又は財産の管理に関して、前三条の違反行為をしたときは、その行為者を罰するほか、その法人又は人に対しても、各本条の罰金刑を科する。

附則
この条例は、公布の日から施行する。
附則(平成一三年三月七日条例第一一号)
この条例は、平成十三年十月一日から施行する。ただし、第二条及び第四条から第十五条までの規定は、同年四月一日から施行する。
附則(平成十七年三月十八日条例第十号)
この条例は、平成十七年四月一日から施行する。

このページに関するお問い合わせ

教育委員会事務局生涯学習推進課文化財係
〒166-8570 東京都杉並区阿佐谷南1丁目15番1号
電話:03-3312-2111(代表) ファクス:03-5307-0693