131 薬罐坂 【坂】(上荻3丁目11番18号)

 

ページ番号1007905  更新日 平成28年1月18日 印刷 

この坂道は薬罐坂と言われていて『豊多摩郡誌』(大正5年刊)には「大字上荻窪本村に俗称薬罐坂と呼べる傾斜路あり、昔雨の夜毎に坂の中程に薬罐の転がり居れる奇怪事ありて、この名を得たるよし。雨の深夜など、今も時として薬罐出するなど云うものあり。」と書かれています。
今でも地元には、次のような言伝えが残されています。雨のある夜、八丁通りで一杯飲んで、家に帰る途中、ほとんど人家のない下り坂を歩いていると、真赤に焼けた大きな薬罐が道路のまん中に転っていた。一杯ひっかけて良い機嫌なので、じゃまなその薬罐を足でけとばすと、真赤な薬罐は、ころころと下り坂を転がり落ちていった。この話が広まり、その後も何人もの人が、焼けて真赤になった薬罐を見たということから、誰言うともなしに薬罐坂の呼び名がついたと言うことです。
今とはちがい交通の開けていなかった区画整理前の薬罐坂は、両側に樹木の茂った薄暗い、道幅も狭い急坂で、大八車など引いて通るには、大変な坂道でした。そのさびしい坂には、狐狸のたぐいがすんでいて、いたずらをしたということが、この様な伝説を生みだしたのかも知れません。
通称地名には、昔の杉並をしのばせるものがたくさんあります。薬罐坂の地名も大切に伝えてゆきたいものです。

平成3年3月

 

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