20 東運寺 【寺院】(方南2丁目5番4号)
当寺は、木造阿弥陀如来坐像を本尊とする浄土宗の寺院で、「釜寺」という通称で親しまれています。
元禄14年(1701年)頃に当寺の住職であった祐梵上人筆の由緒書によると、天正元年(1573年)、備前(岡山県)の僧一安上人が当地に来て、安寿と厨子王の守り本尊「身代り地蔵尊」を奉じ、これに帰依した方南の大地主鈴木伊兵衛が屋敷を寄進、念仏堂としたのが当寺の開創と伝わります。大正11年(1922年)、下谷入谷町にあった東運寺(慶安4年(1651年)、茂山上人開山)と合併し、念仏山東運寺と山号と寺号を改めました。
「釜寺」という通称の由来となった「身代り地蔵尊」には、山椒太夫(さんしょうだゆう)に釜ゆでにされそうになった厨子王を、お坊さんの姿になって助けたという言い伝えがあり、それにちなんで当寺本堂の屋根に釜を置いたといわれています。現在の大釜は、昭和20年(1945年)の戦災で本堂焼失後、当地の檀徒が寄進したもので、米1俵(60キログラム)を炊くことができるといいます。
当寺には、元禄2年(1689年)の刻銘のある半鐘や、江戸初・中期の庚申塔(こうしんとう)や石仏などが保存されています。また、「鉦冠(しょうかん)薬師」と呼ばれる木造仏も安置されており、本像は寺伝によると徳川第13代将軍家定公に縁があるとされています。山門は、一関藩主であった田村右京太夫建顕(たつあき)の江戸屋敷脇門を移築したもので、赤穂藩主であった浅野内匠頭(たくみのかみ)長矩(ながのり)が切腹の折に通ったと伝わります。そのほか、中国山東省の孔子家より贈られた銘木「楷樹(かいのき)」が数株植えてあるのも珍しいです。
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