脂質異常症

 

ページ番号1093079  更新日 令和6年3月1日 印刷 

脂質異常症とは?

脂質異常症とは、「悪玉」のLDLコレステロールや血液中の中性脂肪(トリグリセライド)が必要以上に増えるか、または「善玉」のHDLコレステロールが減った状態のことです。
心筋梗塞や脳卒中を起こすリスクが高いのは、コレステロールの中でも「悪玉」といわれるLDLコレステロール値で、このため、現在ではLDLコレステロールの管理が重要視されています。過食、運動不足、肥満、喫煙、アルコールの飲みすぎ、ストレスなどが関係しているといわれています。
特に、お腹の中に脂肪がたまる「内臓脂肪型肥満」の方はLDLコレステロールや中性脂肪が多くなり、HDLコレステロールが少なくなる傾向があります。
また、遺伝的な要因によって起こる「家族性高コレステロール血症」は、遺伝性ではないタイプのものに比べてLDLコレステロール値が著しく高く、動脈硬化が進行しやすいことが知られています。親や祖父母、兄弟など血縁者に脂質異常症や、50~60歳以下の若い年代で心筋梗塞を起こした方がいる場合、家族性高コレステロール血症の可能性が高いため、まず、ご自身のLDLコレステロール値を確認してみましょう。

【脂質異常症診断基準】

  • LDLコレステロール 140mg/dL以上で高LDLコレステロール血症、120~139mg/dLで境界域高コレステロール血症
  • HDLコレステロール 40mg/dL未満低でHDLコレステロール血症
  • トリグリセライド(中性脂肪) 150mg/dL以上(空腹時採血)または175mg/dL以上(随時採血)で高トリグリセライド血症

コレステロールは悪者か?

コレステロールはヒトの体に存在する油(脂質)の一つで、悪者と思われがちですが、細胞膜、胆汁酸および男性・女性ホルモンの材料になるなど、重要な役割を担っています。

  • 細胞膜の材料となる
    細胞膜は栄養素などの物質の細胞内外への出入りをコントロールする
  • 胆汁酸の材料になる
    胆汁酸は摂取した脂肪の消化や吸収を助ける
  • 副腎皮質ホルモンや男性・女性ホルモンの材料になる
    侵入病原体などに対抗する免疫や、体の若々しさを保つ

脂質異常症はなぜ悪い?

LDLコレステロールが必要以上に増えることで血管が傷つけられ、静かに動脈硬化が進行することで脳や心臓の怖い疾患につながるおそれがあるからです。
中性脂肪の増加でも血管は傷つきます。さらに、非常に高い状態が続くと、激痛を伴う急性膵炎が発症することが知られています。

  1. コレステロールを運搬するLDLが増えると、血管壁に傷がつく
  2. その傷から、LDLが血管壁の中に入り込む
  3. 血管壁の中に入り込んだLDLは酸化LDL(悪玉コレステロール)にかわる
  4. 「悪玉」酸化LDLを体内から片付けるべく、体内の掃除屋であるマクロファージは酸化LDLを自分の中に取り込み泡沫細胞に変身
  5. 酸化LDLを取り込んだ泡沫細胞は血管壁に沈着
  6. 軟らかく破れやすい「脂質プラーク」と呼ばれるコブをつくる
  7. このコブが破れると、補修のために血小板が集まって血栓(血液のかたまり)ができる
  8. 血栓(血液のかたまり)で血管がつまってしまう

心臓の血管がつまったら…心筋梗塞、狭心症
脳の血管がつまったら…脳梗塞
この状態になって初めて「目にみえる症状」になる

他の生活習慣病との合併でより深刻に

血圧が高いと動脈に強い圧力がかかり続けるために血管の内壁が傷つきやすく、脂質異常症と高血圧が合併していると動脈硬化が進行しやすくなります。

血糖値が高い状態が長く続くと、LDLコレステロールが酸化されたり、小さくなったりして、より血管壁に入り込みやすい状態になり、動脈硬化が一層進行します。

また、喫煙は、「善玉」のHDLコレステロールを減らしたり、悪玉LDLコレステロールをさらに酸化させやすくしたりします。喫煙習慣は動脈硬化を進行させる大きな危険因子です。

予防や治療

脂質異常症の治療は通常、食事療法と運動療法から開始します。

薬物療法は、食事療法と運動療法を行っても脂質管理の目標値が達成できない場合、もしくは持っている危険因子が多く、動脈硬化や動脈硬化による疾患を起こすリスクが高い場合に開始されます。食事療法は肥満や全ての生活習慣病改善の基本です。

厚生労働省などでは脂質異常症に関する情報サイトを掲載しています。

ご活用ください。

 

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